ヴェネツィア方言での「チサメ・デ・ペッセ」(甘酸っぱい魚類):1300年の匿名の書物にサルデ・イン・サオルの歴史的最古のレシピ。

11 November 2021

1300年に匿名の料理人が「チサメ・デ・ペッセ」(甘酸っぱい魚類)というレシピを書きましたが、それは現在の有名なサルデ・イン・サオル(翻訳者注:玉ねぎに覆われた揚げイワシ)の前身ようです。このレシピを含んでいる本のタイトルは『匿名のヴェネツィア人』です。1899年に出版されたこの本は、ボローニャ大学図書館の管理者のルドヴィーコ・フラティから発見されました。その本の中で、香辛料がメインされた130以上のレシピに通じて、中世のヴェネツィアの料理は語られています。

歴史と料理と密接な関係があるということを、ヴェネツィア施設の教師兼シェフのアンナ・サンティーニとアンドレア・ミケロンが良く知っています。実際に、この二人のシェフは料理を通じてイタリア語を教え、ひとつひとつの材料の中で、日常生活を保つ伝統的な料理を伝えることができます。 なぜこの方法でイタリア語を教えているのかというと、一つ一つのレシピの背後に歴史と芸術の遺産があるからです。そして、多くの学生が1600年間の歴史に通じて、ヴェネツィアの本質とオリジナリティを探ってみたいからです。

そのために、9月以降学生達は、ドージェ(*)・エンリコ・ダンドロ、詩人のヴェロニカ・フランコ、派手なジャコモ・カサノヴァ、ペギー・グッゲンハイムといった有名な一人と一緒に、テーブルを囲むということを思い描くことができます。この思い描いた機会で、ヴェネツィアと歴史的背景について話し、その過去の有名人もおそらく食べていた料理を作り、その後一緒に夜ごはんを食べることができます。
(*)翻訳者注:ドージェとはイタリア語でのヴェネツィア共和国の元首

東洋や遠い国の香りがする料理、鶏肉、スープ、ハーブや骨の種類、生姜、シナモン、アグレスト、アーモンドやアーモンドミルク、魚、蜂蜜などの中で、『匿名のヴェネツィア人』という本はドージェ・ダンドロの時代とまさに合っています。

この本に書いてあるレシピの中で、アンナとアンドレアは「チサメ・デ・ペッセ」(甘酸っぱい魚類)という歴史的に最古のサルデ・イン・サオル(翻訳者注:玉ねぎに覆われた揚げイワシ)のレシピと「アンボロイーノ・デ・ポッロ」(鶏を含むレシピ)をよく選びます。そのレシピはヴェネツィア料理にもう存在していませんが、デーツ、プルーン、アーモンド、アグレスト(未熟なブドウのジュース)、ラード(豚の脂肪)、サフランなどの材料が含んでいました。その古いレシピを真似ることが簡単ではないが、その味はきっとかつてのと近いです。

「チサメ・デ・ペッセ」(甘酸っぱい魚類)は私たちがよく知っているサルデ・イン・サオルの最古の証拠で、多くの材料は似いていますが、当時に松の実の代わりにアーモンド、蜂蜜と強い香辛料を使われていました。かえって、アンボロイーノの由来はヴェネツィアの香辛料市場が崩壊した1500年代末に遡ります。全てのレシピには香辛料、アーモンドやアーモンドミルクが大げさな量でも使われていました。所詮、本来のヴェネツィア料理はフュージョンの料理であり、地元の食材に基づき、アラブ、オスマン、東洋、ユダヤ、アルメニア、ギリシャなどの影響を受けて、その国の材料も料理にミックスされていました。本に書かれている同じレシピは全て現在に保たれていないかもしれませんが、フュージョンのコンセプトはそのままで残り、現在に伝わっています」とのこと。

面白いことに、『匿名のヴェネツィア人』に書かれているレシピの多くは12人分です。なぜかというと、この本は豊かな宴会で財産をよく浪費した12人の大食らいのために料理をしたニコラ・サリンベニという料理人のレシピに参考しているからです。文献学者にとっては、『匿名のヴェネツィア人』にあるこの12人分のレシピを、13世紀末の失われた書物から引用されています。

このようにして、学生達は香水、フライパン、熱湯を沸かす音の中で全体的なヴェネツィアと接触することができます。

「その学生達、ここに来る理由は真偽を探しているからです。コンタミネーションではなく、本当のレシピが欲しいのです。イタリアとヴェネツィア、そして、文化、美術、料理などが最も好き外国人はドイツ人です。もちろん、オランダ人、スイス人とオーストリア人もヴェネツィアの興味があります。アメリカ人もイタリアが大好きなんですが、持っている偏見が否定することが必要です。例えば、イタリア料理にニンニクがたくさん入っていることやカルボナーラにキノコを入ってもいいということとか。」とアンドレアとアンナが語ります。

一番愛された一皿は?誰でもにとって、何の皿よりも、ヴェネツィア料理の「王様」、すなわちポレンタバッカラ・マンテカト(*)です。

(*)翻訳者注:ポレンタとは、コーンミールを粥状に煮たイタリア料理です。
バッカラ・マンテカト:「バッカラ」とは「干し鱈」、「マンテカート」は「よく練る・こねる」という意味します。